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建設メディア「MEDIA」
Home >斜め読み聞きかじり >2008/4/2

なんとかならんか、この名称

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 平成20年度がスタートした。3月31日を期して新聞各社が競って大きな文字にし“紙面が読みやすくなった”と宣伝しきりだ。なんで文字を大きくしなければならないのか。恐らく“老人にやさしい紙面を”ということで講読を引き留めておこう、という魂胆なんだろうとボンヤリ推測している。“情報量も減らさない”と謳っているが、それは無理というもんじゃないか。文字を15%も大きくし、1段15字だったのを11字にしている。新聞1ページの大きさはブランケット版と決まっている。そうすると、情報量を減らさないためにはページ数を増やさなければはみ出る。それでなくても“斜陽産業”の位置にある新聞社にとってページ増はかなりの負担だ。それを敢えて文字を大きくする競争を始めた意図に「新しい新聞界の弱肉強食の戦い」が開始された、と見るのは大袈裟だろうか。とにかくキナ臭いにおいがしてならないのだ。

 もう一つ、4月から始まったものに「後期高齢者医療制度」がある。75歳以上の老人は、これまでの国民健保や、息子の扶養者として組合健保・政府管掌健保に入っていた人でも全員、この新制度の被保険者に移った。当然、旦那だけでなく奥さんも保険料を支払うことになったのだ。こりゃあ大変だ。この制度も小泉改革の流れを引いていて、昨年早々に決められた。だが、こういう“年寄りイジメ”が相次いだ結果が、昨年7月の参院通常選挙で自民党が大敗し民主党の大勝利を招いたのだ。そして今のねじれ国会を産み、日銀総裁が空席、暫定税率は期限切れでガソリンが25円安と、いいんだか悪いんだか訳が分からない政治の混迷を現出している。慌てた与党自民・公明党は4月から扶養家族分の保険料を9ヵ月凍結、その後も保険料の9割を免除、などとドロ縄式の対策を打ち出した。それがとにかく、この4月から始まったのだ。

 年間30兆円を越す今の医療費を減らすためには高齢者からも搾り取るしかないということで、曾っての“バラ色の老人医療”は完全に消し飛んだ。しかも制度の名前が気に食わない。「後期高齢者医療」とはなんと無味乾燥な名前か。まさに役所言葉の典型ではないか。豊かな老後が続けられるよう、などという優しさは微塵も感じられない。朝日「天声人語」でも指摘していた。「この名前を聞くと、ついに年齢の断崖に追い詰められた感、がする」という。命の頼みの綱の医療保険だ。もっとなんとかならなかったのか厚生労働省のお役人さんよ。まさか75歳以上は“姥捨山へ”という意図じゃないんだろうネ。(2008・3・31)


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