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大阪ぎらいの大阪心配論

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 日本の都市で何処が一番好きか、と問われれば「ウーン」と首をかしげた上で「やっぱり京都かな」と答えるだろう。京都の積み重ねられた歴史、雅びな風土や町並み、食べ物に心が惹かれる。一番嫌いな都市は?ときたら躊躇なく大阪、と答えてしまうかもしれない。何故だ?といわれても、魅力が少ないから、とでも言うはかない。ただ何故か歌は都はるみの「大阪しぐれ」とかボロの「大阪で生まれた女」ニッタ・ニチーサの「放かされて」だのと、大阪の歌が好きなのである。その大阪がいま大変なことになっている。と言っても中国四川大地震のような天災とか事件のたぐいではない。大阪府財政再建計画で橋下新知事が大ナタを振るっている改革の行方のことだ。借金5兆円というパンク寸前の台所を立ち直らせるため、平成20年度府予算で支出を1100億円も削誠する大方針を掲げた。この結果、新年度がスタートしたばかりの府下41市町村への各種補助金がバッタバッタと切り捨てられることになった。

 そこで橋下知事と41人の首長が対決。ほとんどが知事より年上の首長たちは一斉に知事を攻撃し「こんな無責任な案は直ちに白紙撤回しなさい」と、まるで我が子を諭す口調で詰め寄った。そこで橋下知事は「白紙に戻す積もりなどありません」と感極まって涙を流して協力を求めた。これが“涙ながらの知事の要請’とテレビで流され、たちまち首長連中に「なぜ若い知事をいじめるのか。次の選挙では覚悟せよ」というメールが殺到したそうな。これで対決は頓挫してしまった。関西経済同友会は「収入の範囲内で予算を組む原則は支持する」としているが、この大幅な予算制滅はどうしても緊急度の低い文化振興面に振り向けられる気配が濃厚なのだ。その結果、上方芸能の拠点である「ワッハ上方」も全国で唯一の「国際児童文学館」も「センチュリー交響糞団」も消えてしまいかねない状況に追い込まれているのだ、という。

 いまの大阪といえばグリコや動くカニの看板と並んで道頓堀名物だった「くいだおれ太郎」人形が店の経営不振で60年の歴史を閉じることになり、別れを惜しむ観光客でワンサと賑わっている。人形の方はもう100件を越す引き合いがあって何処かで“第2の人生’を送れそうだが、かって5つの劇場が建ち並んだ芸能の街でもあった道頓堀は、今は劇場跡がゲームセンターや衣料量販店になり若者だけの雑然とした街になってしまった。そしてさらに文化切り捨て。府民サービスや文化芸能が消える橋下過渡的改革、その行方やいかに。(2008・5・15)





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