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龍を断った報い

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 「8月8日8時8分8秒に開会する」と政府首脳までがゲンを担いで決めた北京オリンピックの開会日。全て末広がりの8を並べた北京五輪だが、その開会日を「2ヵ月ズラして10月上旬に」という動きが中国共産党首脳部に出ている。という情報がある。とても信じがたい話しだし9分9厘までは8月開催は揺るがないとは思うのだが、万が一という事態も残されているのだ。

 月刊誌「選択」6月号によると、土壇場にきて開会日の検討に迫られている理由は四川大地震である。いま中国では「龍を断った報い」なる言葉が囁かれている。「龍の胴体を断ち切ったから、その報いが四川大惨事をもたらした」というのだ。龍とは何か。揚子江(長江)のことである。長江は中国いっぱいに体をくねらせ飛んでいるように見える。龍は中国では皇帝の権力の象徴であり最高権力者の建物にはすべて龍の彫刻が施されている。その「龍を断ち切った」というのは三峡ダム建設のことだ。武漢の奥の三峡で長江は両岸が険しくそそり立つ。そこをダムにして潅漑用水の確保、洪水の防止、水力発電を進める狙いで工事が進められ、このほど大半が完成した。発想は孫文が始まり、と言われるが、江沢民・李鵬政権時代に急ピッチで工事が進められた。来年には大規模な発電所が動き出すという。裏に利権がからんでいるのは疑いない。

 「その“龍”の胴体を真二つにしたから四川大地震が起きた」というのは科学的根拠は全く無いが、やはり東洋思想の国だ。風水の考えが国民の胸にしみ込んでいる。しかも30数年前の出来事がまざまざと蘇る。文化大革命を指導した江青(毛沢東夫人)ら四人組が逮捕、死刑にされ文化大革命が終了した際に起きた唐山大地震である。この時は20数万人が亡くなった。政変と大災害は結びついている、という連想が四川大地震にダブって見えるのだ。そこで、今回は政変に結び付けないようにと中国共産党が策をめぐらす中で「北京五輪の延期」が浮かび上がったらしい。こんな激烈な災害を尻目にスポーツ競技に夢中になって国民の反発を招かないか、それでなくても小中学校の校舎だけがバタバタ倒壊し、8000人の犠牲者を出したのは共産党指導による手抜き工事のせいだと国民が撒高している、といった思惑があって「10月まで延ばして災害対策に政府の力を発挿してからでも遅くない」という発想が出たのである。仮に延期したら世界に与える衝撃は計りしれないが「それでも現政権が打倒されるよりはマシ」という考え方が果して優先するか、その行方や如何に。(2008・6・15)





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