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平成の”一億総白痴化”

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 またマスメディア批判を一席。いまテレビ業界は不況なのだ、という。一般市民には一つも実感が無かった「史上最高の好景気」の日本経済に陰りが見えはじめ、最近では景気後退が常識になっている。就任したばかりの麻生太郎自民党幹事長はさっそく総選挙を見据えた景気浮揚策を打ち出したぐらいだ。

 その不景気の影響は真先にマスコミがかぶる。売り上げ滅対策は経費節減策となって現れ、そのホコ先は最初に広告宣伝費の削減に向けられるからだ。テレビは番組にいいスポンサーがなかなか付かなくなり収入減を招く。でも放送に空白時間は作れないから番組を制作して放送はするんだが、その制作経費を無闇に削る。そこで現れるのが”薄っペらな”お笑い番組。それもギャラの安い”さっぱり芸の無い”お笑いタレントによるクイズ番組になるのだ。これが目下花盛りである。試しに新聞のテレビ欄を見てごらん。ゴールデンタイムだっていうのに、夜の7時から必ずどこかのチャンネルでバカバカしいお笑いクイズ番組があるから。ひどい時には3局が競い合っていることがある。

 しかも「クイズ番組だから」と、まともな視聴者がテレビ画面と向き合うのだが、常識以下の問題に馬鹿タレントが満足に解答できないのにウンザリしてしまうのだ。これは国民の頭を良くする番組ではなくて、あくまでお笑いタレントを売り出すチャンスでしかないのだ。古今東西、人前で芸を売って身を立てる芸能界では、身を削るような修業の末に磨き上げた芸を披露するのが建前というか、常識である。今のクイズ番組はロクな芸を持たないのを、頭の悪さやバカ加減をさらけ出すことで名前を売る、という低俗極まりないシロモノなのだ。頭脳明噺で世に出るのではなくて、これでもかというぐらいの無学さ、常識の無さで名を売って世に出る社会って、正しいんだろうか。これをもてハヘヤして、家族団欒の時間に4大キー局が競って放送しているという現実。

 そこで蘇ったのが「一億総白痴化」という名警句だ。日本の民間テレビ放送は昭和28年から始まった。国民は白黒画面に夢中になり、力道山のプロレスに沸き返った。その様子をみた偉大な評論家の大宅壮一氏が「低俗テレビは一億人の日本人総白痴化を招く」と社会に警句を発したのだ。これが流行語になった。でも、今のテレビ放送の低俗さから見れば、当時の日本人がひたむきに見た画面の方がまだまだ質は高かったと思う。今のは全く次元が違うくだらなさだ。あの世の大宅さんは今のテレビを見て、何と警句を発するんだろうか。(2008・8・25)





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