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秋の雲と総理のイス

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 この秋も“サプライズ”ニュースは豊作だ。時の総理大臣が2年続けて政権を放り投げる、なんてことが起こる日本になってしまった。軽〜い総理、ふわふわしている政治家ばかり。まるで秋の空高く浮かんでいる羊雲みたいに頼りない。年寄りは嘆きたくなる。「昔は政権を命を賭けて奪い合ったもんだ。それを簡単に投げ出すなんて、どう考えても分からん」とね。昔、と言っても昭和の後半なのだが、あの頃と何が変わったんだろう、と考えて思い当たるフシがあった。世襲議員の資質だ。いまや、国会議員の世界は世襲という一族の増加が著しいのだ。衆議院では140を越す議員が二世、三世、四世議員で、全議員の3分の1を占めている。参議院でも2割に迫る勢いだ。

 選挙での3大要素はチバン・カンパン・カバンである。チバンは地盤で支持者の層の厚さ、カンパンは看板で名前の売れ具合、カバンはご存じ、選挙資金のことだ。政治家を目指す者はこの3大要素つくりに憂き身をやつし、その果てに栄冠を掴む者、挫折する者、いろんなケースが数限り無く出ている。ところが、世襲政治家はオヤジやジイさん、時には母方の政治家の3大要素をソックリ頂いて、アッと言う間に当選しバッジを付ける。生まれた時から3大要素が備わっているのだ。親が立派な政治家だったから、息子・孫も本当に立派なのか。そんな忖度(そんたく)を少しもしないで、選挙民はただ名前に酔いしれて投票してしまう。そんな構図がこの世襲議員にはあるのだ。大河ドラマの「篤姫」じゃあるまいし、この現代に世襲なんてことで代々政治家を続け、いつのまにか封建時代の大名、殿様みたいに、新しい貴族を作り出してしまっていいのだろうか、と疑問が湧き出てくるのだ。

 昭和後期の総理大臣は“今様太閤”の田中角栄はじめ竹下登、鈴木善幸、三木武夫、また官僚ではあったが岸信介、福田槌夫、大平正芳などなど、みんな自分で切り開いて総理のイスを掴んだ初代ばかり。角大福抗争なんて今も忘れないネ。ある高名な政治評論家が喝破していた、「世襲議員は二世、三世、四世と進むにつれ資質が劣等化してゆくのは間違いない」と。安倍、福田両総理とも二世議員だ。辛抱、我慢、忍耐がいま一つ欠けている、としか言いようがない。そしていま人気の麻生太郎さんも三世議員である。これをどう見ますかね。世襲議員が全く悪い、とは言わない。良い面もあるだろう。でも名前や血統だけで優劣を付けるのは犬猫のペットショップだけにしたらどうか、ネ。 (2008・9・25)





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