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Home >斜め読み聞きかじり >2008/10/27

ここにも”年齢一律”

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 いきなり虎の子の年金から保険料を天引きして、世の中から総スカンを食った「後期高齢者医療制度」だったが、それよりは穏やかなものの、やはり非難の声がくすぶっているのに「もみじマーク」の義務化がある。どちらにも共通しているのが「75歳以上」と年齢で区切っている点だ。「なんで年齢一律でなければならんのダ」という元気な老人が憤慨している。まあ、後期高齢者医療の方は国会で厚生労働省が集中砲火を浴びて火ダルマになっているから、ここではさて置いて、「もみじマーク」の年齢一律を取り上げてみたい。

 高齢者ドライバーの事故が多くなっている、というニュースがあるが、これはがん死が増えているのと同じリクツなのである。大きな要因に高齢化社会の進展がある。人ががんを自覚して治療するまでにザット20年かかっている。逆に言えば、年を取れば取るほど、がんが大きくなって死因になるケースが増える。だから総体でがんによる死亡が増えているのだ。同じ理由で、高齢者による交通事故も対象になる老人が増えているんだから、事故件数も多くなる理屈である。確かに反射神経の低下や視野の狭窄など肉体的な能力の低下は否め ない。

 しかし75歳以上の高齢者の多くは道路交通法で心配するような肉体的衰退などほとんどないのだ。第一、運転があやふやな老人はハンドルを持つ元気など無い。つまり、高齢ドライバーを年齢で区切って差をつける必要などないのである。ところが、改正道路交通法では75歳以上の運転者全てに「もみじマーク」の掲示を義務付けた。平成20年は周知期間だが、21年から付けないと罰金を取られるという。ここでも高齢者の差別化が出た。筆者はとっくに対象ドライバーになっているが、8月に行った免許更新での講習で運転能力テストを受けた。ほとんどが5(優れている)だったよ。一般平均でみても3(普通)だった。これでも「もみじ」は付けないといけないのかネ。

 こんなにこだわるのは、実は「もみじマーク」車だけを狙った犯罪が起きつつあるからだ。「もみじ」車には周囲が寛容と協力の精神を発揮することが求められている。それを逆手にとって襲いやすい弱者とみて車を止めさせ、お年寄りに押しつけがましい商法を強要する事件が起きているのだ。「シルバー運転者なら金があるだろう」と脅されたともいう。物事は訳知り顔の為政者や知識人の施策の反対方向に向う大きな事例をここに見る。免許更新する際、自動車学校で個人差を見極める細かい配慮を取ったら、年齢一律など要るものか。(2008・10・20)





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