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彼我の議会の差

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 最近のテレビニュースで、欣快と言うか衝撃を受けた場面といえば、アメリカ下院公聴会でのビッグ3、つまり自動車会社のGM・クライスラー・フォード3社の首脳に対する下院議員の問い詰めシーンだ。「会社がつぶれるから公的資金を注入して」と頼みに来た3人の首脳に対し「あなた方はここに何に乗って来たか。自家用ジェット機で来ただろう。そのジェット機を売り払う気はあるか」と立て続けに詰間され「・・‥・・」。返事が出来なかった。「自分の責任で会社を潰れる寸前にまで傾かせておいて、自家用飛行機はないだろう。人に物を頼む姿か。出直して来い」と追い返された。欣快、拍手喝采である。  別の話もある。毎日新聞コラム「発信箱」によると、今回の米国経済危機のハシリとなった超大手証券会社リーマン・ブラザーズのリチャード・ファルド最高経営責任者(CEO)は、会社が倒産しても豪邸や別荘を幾つも持っている。下院公聴会で議員が聞いた。「国が経済危機でも、貴方にはこれまでに手にした480億円がある。これは公平か?」。CEOは「480億円ではなく310億円だ」と訂正したうえで胸を張って言った「私には退職金は無い」。

 もう一つ、15兆円もの公的資金の注入を受けて再建中の超大手保険会社AIGで、公的資金支援が決まったあとに1部屋1泊10万円以上のゴルフリゾートで1週間会合を開き4400万円支払ったことが発覚、猛批判に晒された。  ビッグ3の首脳陣に共通するのは「会社が危機に瀕したのは金融危機のせいだ、経営環境が悪化したからだ」と言いつのって自己責任を棚上げし、まるで反省の色が無い点だ。2度目の公聴会では今度は自社製の車を運転して議会に来て「年俸を1ドルにします」と答えたそうだが、もう遅い。
 アメリカ議会の自浄能力の高さを思い知った。これに比べると、わが日本の国会は何をやってんだろう、と暗澹たる気持ちになる。大統領選での鮮やかな政権交代と合わせ考えると、彼我の議会の落差に愕然とする。いま、何が重要なのか、焦眉の急にある課題は何か、が米国議会では次々に俎上に上げられ白熱の論議が交され表決されていく。こっちの国会では衆院と参院で議員数がねじれて自浄作用が増すかと思いきや、自覚の利益追求のみに使われ、国民の差し迫った願いが通じない。“木ばかり見て森が見えないダメ猟師”ばかりの国会に陥っている。漢字が読めない、オッチョコチョイの発言だ、と冷やかしているうちに年が明けてしまう。師走に路頭に迷う国民を一体どうする気だ。(2008・12・19)





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