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Home >斜め読み聞きかじり >2009/1/13

たまには聞き分けがいいことも

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 先に、この欄で「75歳以上のもみじマーク表示の義務化」という報道に、「なんで、ここでも75歳で区切るんだ。後期高齢者でも運転能力にはピンからキリまであるゾ」と、2009年からの義務化に反対論を掲載した。ところが、いったん決めたら撤回にはテコでも動かない官僚ばかりの霞が関の中に、たまには聞き分けのいい部類もあるようで、警察庁は12月25日に「75歳以上のもみじマーク表示の義務化を全廃する」と決め、昨年6月に改正したばかりの道路交通法を半年で再改正する法案をこの1月の通常国会に提出する、という。よくぞ撤廃に踏み切った。『過ちを改むるに憚ること勿れ』と苦から言っているのだ。年寄りの話はよく聞いた方が身の為なのである。

 警察庁の話では、もみじ義務化に高齢者を中心に相当な反発があったらしいのだ。「後期高齢者医療制度とともに、高齢者いじめの筆頭」という学者センセイの反論もあり、マゴマゴしていると厚生労働省の二の舞になることを恐れての判断だったらしい。ついでに「もみじマークは枯れ葉みたいで、末期を連想させる」との批判にも対応してデザインを再検討するそうな。本当に物分かりがいいねェ警察庁サンは…。老人パワーというものを思い知ったらしい。もう一つ“ほほう”と思ったのは、例の派遣労働者クビ切りで年の瀬に路頭に迷った人たちに厚生労働省が講堂を開放して寝泊まりさせた措置だ。これはしかめっ面のバカ堅いお役所のイメージをかなり和らげた、と思う。1月5日のご用初めに打ち切ったが、今度は東京都庁が救済に乗り出した。

 こうした役所の臨機応変な対応に比べて、がっかりしたのは日本経団遵の御手洗会長の談話だ。年末にバタバタと各企業で非正規労働者のクビ切りが相次ぐ中での記者会見で対策を問われ「景気の回復をめざす」の一点バリだったことだ。そんなことは経済の大御所でなくたって分かり切っている。しかし景気回復はあと何年かかるか判らないのだ。そうではなくて、いま年が越せるかどうかの瀬戸際の救いの手が問われているのに、こんな談話などあるものか。経団連だから大企業を擁護する気持ちが判らぬでもないが、武田節にもあるじゃないか『人は石垣、人は城、情けは味方、仇は敵』と。非正規労働者をこき使って莫大な利益を上げた内部留保を何故、今この人たちに使えないんだろう。リストラばやりの一昔前は工場を売り払って凌ぐ三等社長が横行したが、今は人切り社長ばかり。この報い、いつか来るように思えてならないのだが…。(2009・1・10)





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