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非常ベルが鳴っている

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏


 11月14日(土)の毎日新聞コラム「近聞遠見」で岩見隆夫さんが面白い川柳というか句を取り上げていた。「非常ベル これでいいのか 自民党」というものだ。これでいい訳はあり得ないから反語なのだが、作者がその自民党新聞出版局長の馳浩衆議院議員なのだ。レスリングの元オリンピック代表選手というスポーツマンで、その勝負師としての勘が「このままじゃ、自民党は危ない」と感じ取って非常ベルを鳴らした、という訳である。8月末の自民党歴史的敗北は「政権政党にふさわしくなくなったから」が遠因だ。そして、ふさわしくなくしたのは54年間、座り続けた与党イスの座り心地良さにトップリ漬かって、足元まで砂が洗い流されているのに気付かなかった奢りと油断だった。持っているのが当たり前だった政権の心地よさは、失ってみてその有難みが骨に鯵みるほど分かった。悪いことに、冷や飯を食ったことがない議員の集合体だから、一度打ちのめされると精神的に参ってしまい、這い上がる気力すら失ってしまう輩ばかりだ。そこで「非常ベル…」の句となるのである。
 
 9月の総裁選で谷垣禎一氏を総裁に選んだ。その第一声は「全員野球で」だった。この掛け声、聞こえはいいが、危急存亡の今の自民党の総大将としては情けないのだ。「全員野球で」はこれが初めてではない。実は昭和55年6月大平正芳首相が急死、急きょ選出された鈴木善幸首相が発言したのが最初である。あの時は大平さんの”殉職”もあって衆参同日選挙は自民党が圧勝。政権基盤が磐石の中での首相選出劇だった。だから本音を言えば「首相は誰でもよかった」のだ。派閥がしっかりしていて基盤は微動だにしない。そんな状況をわきまえ、凄腕を持たない善幸さんは「皆さんに支えられて総理職を全うしたい」という気持ちで「全員野球で力を合わせて下さい」という趣旨だったのである。だが今は違う。壊滅的な敗北で自分で立ち上がろう、這い上がろうという気力を失って死屍累々とした状況にある。それを引っ張っていくのに「全員野球」はないだろう。「死を恐れずに、オレに付いて来い!死力を振り絞れ」と叱咤激励し采配を打ち奮う猛将でなければならないのだ。そこに先の自民党総裁選の誤りがある。谷垣さんはかっての「麻垣康三」の一員だった。つまり旧体制の一人だ。そして選んだ三役体制も、改革を叫んだ若手グループからではなく旧体制からだった。古い体質にオサラバしなければ復活再生など、とても覚束ない時に最悪の体制。まさに非常ベルがガンガン鳴り響いている。(2009.11.17)







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