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医療ツーリズムで外貨稼ぐって?

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏


 「メディカル・ツーリズム」という言葉がじわじわ流行り出している。ツーリズムとは観光とか観光事業のこと、メディカレは医療だから、医療を観光に代わる資源として旅行事業を行うことを意味する言葉だ。月刊誌「選択」3月号を眺めていたら「名医は日本の外にいる」という見出しが目に飛び込んできた。「エッ、何のこと?」と読んだら、このメディカル・ツーリズムのことだった。米国では先日、オバマ大統領が政権を賭けて提案していた医療保険制度改革が連邦議会で辛うじて過半数を得て可決、人気回復のキッカケを掴んだ。日本は昭和37年から国民皆保険が実現し、誰でも1割?3割の自己負担で治療を受けられるが、アメリカがそうではない。一般の保険会社の医療保険が普通で、ミドル所得層向け、富裕層向け保険に分かれ、さらに無保険層も多い。これを少しでも国民皆保険に近づけよう、というのがオバマ大統領の狙いだったわけで、日本人なら誰でも「いいことじゃないか」と理解するのに、アメリカ人はそうではなかった。「米国を社会主義国にする気か」と大規模なデモが起こり、オバマ人気はガタ落ちだった。保険料を課されるのを嫌ったのだが、その根底にアメリカ建国いらいの自主独立の気風があるらしい。自分のことに政府からあれこれ言われたり、縛られるのが嫌いな国民なのだ。

 という訳でアメリカでの医療費は高いため、富裕層は米国内で治療を受けるが、ミドル層は治療費の安い外国に行って手術を受ける傾向が年々強まっているそうな。しかも受け入れ国がインド、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアなど東南アジア諸国ばかり。心臓手術にかかる費用が、米国内では300万円前後なのにインドでは70万円前後、シンガポールでも約100万円だ。飛行機代やホテル代を入れてもアジアの方がはるかに安く済む。もちろん、医療の質に問題が無いことが保証されているも こうしたメディカル・ツーリズムが成立するには低コスト、生活水準の医療、言葉が通じること、手術までの待ち一時間が短いこと、などの条件が上げられている。ところがこうした「医療を旅行目的の資源にする」という考え方が日本では極めて遅れているのだ。国民皆保険の普及で日本国民は「病気治すのに外国旅行なんて」とほとんど拒否反応に近いせいだ。医寮界も「これ以上患者はいらん」と、日本特有の「護送船団」意識がプンプン匂うのだ。だから優秀な医者ほど外国から戻って来ない。・かくて、安く病気を治すなら東南アジアへ、と草木もなびく。(2010・4・5)






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