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想定外な市長

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏


 世の中にこんな市長がいるのか、と驚くやら呆れるやら。地方分権が泣いている。鹿児島県阿久根市の竹原信一市長のことである。同市長は昨年11月にブログで「高度医療が障害者を生き残らせている」などという障害者への差別的な意見を展開したのが、ことの始まりだ。たちまち批判が巻き起こり、市議会が全会一致で非難決議を採択した。これに対し竹原市長はメディア批判を強め、市役所内でのマスコミの写真撮影を原則禁止した。そして平成22年度の当初予算案を審議する市議会本会議への出席を「議場で報道機関が取材しているから」の理由を掲げて3回も拒否した。さらには委員会審議でも一部の課長に答弁の拒否や退席を命じる有り様。もともと、市長になるや否や、ブログで「最も辞めてほしい市会議員」選びの投票を呼びかけたり、市職員全員の給与内訳を貼り出し、議会や職員組合と激しく対立してきた人物だ。給与の貼り出しに抗議して掲示物をはがした職員を降格したり懲戒免職にしたりした。この職員の弁護団が市公平委員会に訴え出て、公平委員会が降格人事取り消しの判定を出したが、これにも市長は従わないのだ。どうなっているのだろう。
 
 敗戦後、我が国の民主化で地方自治法が制定され、県や市町村の自治体にはアメリカ大統領制が導入された。国の総理大臣は国民が選んだ国会議員の中から国会で首相指名という“間接選挙”で選出される。しかし、知事や市町村長はアメリカ大統領選拳と同様に住民の直接投票で選ばれる。もちろん議会議員も直接選出だ。こうして、地方自治はともに直接選出された首長と議会の二元代表のもとで、双方が協調したり牽制したりしながら進められているのだ。市長が直接選ばれたからといって、市政を独善的に進めることは厳に慎まなければならないのである。どうやら竹原なる人物はこの辺を勘違いしているのだ。
 結局、処分された職員の弁護団は公平委員会の判定に従わない問題で6月9日に鹿児島地検に地方公務員法違反で告発し訴訟問題に発展した。違反の判決が出ると1年以下の懲役または3万円以下の罰金が科せられる。そんなことよりも、こんな常識はずれの市長が現れること自体、いまの法律では想定していないのではないか。道州制はじめ、地方分権の論議が盛んに行われているこの時期に、こんな分からず屋の市長による市政が進められていると「だから言わんこっちゃない。地方分権なんて土台、ムリなんじゃ」と分権懐疑論にいいネタを提供することになりかねない。それにしても、よく市長に当選したネェ。(2010・6・20)






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