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Home >斜め読み聞きかじり >2010/7/3

2人の名横綱が泣いている

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏


 日本相撲協会が大変なことになっている。前回のこの欄で「相撲協会はいまも元寇に遭っていて、モンゴル族に襲われている」と書いたが、その不甲斐ない日本人力士たちが、なんとまア、こんなにも野球賭博に侵されつくしていたとは開いた口が塞がらない。毎日新聞の万柳に「大相撲 6時で終わる訳を知り」というのがあった。毎日6時で打ち止めとなる相撲、終わったら「さア、ナイター観戦だ。オレの賭けたチームはどうなっている」というわけだったのか。これが今の時代なのか。大相撲のイメージが音をたてて崩れ去っている。

 戦時中の少年時代はプロ野球は無く大相撲一色だった。なにせ「国技」なんだから、軍部も国民の戦時意欲をあおるのに相撲を利用した。正月の初場所と5月の夏場所。新聞に小さく取り組みが載った。立浪部屋一門の双葉山、羽黒山、名寄岩の三羽ガラスが子供たちの人気を集めた。対する巨漢の横綱男女ノ川は悪役にされ、負けると喜ばれた。双葉山が69連勝を続けて、昭和14年(1939)1月の初場所で70連勝目に安芸の海の外掛けで敗れた。そのときに双葉山が贔屓筋に打った電報が「イマダ モッケイタリエズ」。モッケイとは木鶏。木で造られた鶏はいかなる状況でも揺らぐことなく、微動だにしない。「その心境に、未だになれていなかった」と双葉山は未熟を恥じたのだ。禅僧にも近い悟りを目指した双葉山。古今の名力士である。そのルックスも美男であり丸い腹といい、その姿は相撲取りの典型だった。
 
 戦後は時津風理事長として日本相撲協会を取り仕切った。昭和22年(1947)に天変地異を予言した新興宗教の璽光尊に狂い、囲碁の呉清涼らとともに食糧管理法違反で逮捕されるという影の部分もあったが、その双葉山が興したのが時津風部屋だ。名横綱が作った名門相撲部屋の一つである。この時津風部屋が不祥事続きなのだ。先に若い弟子に暴行を加えて死に至らしめ前の時津風師匠が解雇された。そして今度の野球賭博でも今の時津風親方が懲戒処分の対象にされている。昭和43年(1968)12月16日に56歳で亡くなった時津風(双葉山定次)はいま、こんな体たらくの相撲界をどう見ているんだろうか。さらに同情を禁じ得ないのが大嶽部屋の危急存亡のことだ。「巨人・大鵬・玉子焼き」と誰もが愛した名横綱大鵬が興した大鵬部屋を引き継いだ貴闘力が引退して大嶽部屋にした。この大嶽親方が病気とも言える博打好きが崇つた。2人の名横綱が興した部屋がともに汚点にまみれている。辛いなア。(2010・7・1)






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