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コンコルドの誤り

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏


 子供の頃から飛行機好きだった性(さが)は後期高齢者になっても直らないらしく、航空機に関するニュースには目が行く。最近は日本航空の再生計画が報じられているが、この中で日航のジャンボ機(ボーイング747)43機全部が売却されて姿を消すという話があった。NHKの特集で、やっと747機の航空整備資格をとった日航社員がこれでフィになり、改めて次の機種の整備士試験に挑む話があった。そういえば毎日新廟8月7日付け経済欄の「追跡JAL再生」では「墓場のジャンボ」の見出しが踊っていた。機体を真っ白に塗られたジャンボ機747〜400が何機も米国西部の空港に着陸していることが報じられている。それはまるで「白装束で売却を待つ姿」だという。日航は燃費の悪いジャンボに代わって中小型機に転換するのだ。でも退役してもジャンボ機は成田空港に駐機させると1機当たり月200万円を超える保管料がかかり湿気で機体も傷む。そこで10分の1の経費で済み乾燥している米国カリフォルニア州ビクタービル空港に運んで売れるのを待つ。買ったときは50億円の機体も、売値は1億円で買いたたかれてもびっくりしないとか。
 今、日航の元経営陣は「もっと早く計画的にジャンボを退役させるべきだった」の後悔の念が渦巻いている。日航が1970年に初めてジャンボ機を導入してから40年。経済成長期には1機で300〜500人を乗せて世界を飛び回ったが、“大きいことばいい事とだ”の時は過ぎ、不況になると座席が埋まらないでかい機体は最新機より3割も悪い燃費もあって厄介者と化した。飛ばす度に大赤字が生じた。でも退役させると巨額の損央が出る。何処でジャンボを見限るか。ここで日航経営陣は「コンコルドの誤り」を犯したのだ。
 三角翼の超音速機コンコルドは英仏共同開発で誕生したが、採算性では超低空飛行のままで、生産を打ち切るのも早かった。実は採算がとれないのは開発中から分かっていた。しかし中止しなかったのは投入した資金がべら棒に大きかったためだ。損失が膨らむのは分かっていても投資額を無駄にしたくなかったのが理由で、将来を見誤ったのだ。これを「コンコルドの誤り」と言うんだそうだ。日航のかっての経営陣が「もっと早くジャンボ退役を…」にこのコンコルドの誤りが当てはまるのではないか。目先の巨額損失計上が怖くて、赤字を垂れ流すのを知りながらズルズル延ばす。こんな場面は日航だけでなく、あちこちで見かけられる。政治の世界にも、そしてお役所仕事にも、商売にも。(2010・9・6)






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