市民〔citizen〕と結ぶネットマガジン!
建設メディア「MEDIA」
Home >斜め読み聞きかじり >2011/2/10

両国に出現した底無し沼

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏


 霧島連山の新燃岳が噴火して、宮崎県に大きな被害が出始めた。何ということだろう。去年の口てい疫、新年早々の鳥インフルエンザ、そして噴火の火山灰だ。東国原知事が1期で辞任してしまい、河野新知事に引き継いだばかり。こりや、一度、大々的にお祓いをするなり、“どげんかせんといかんね”
 などと、気の毒がっていたら、なんと東京のど真ん中で激烈な噴火が起きてしまった。両国の国技館である。八百長がバレたのだ。しかも警察庁の捜査資料で浮かび上がって、それを文部科学省に伝えられて、その“お上”から日本相撲協会が呼び出されて告げられた、という。これには放駒理事長はじめ協会の面々はびっくりしたろうなア。順序がまるで逆なんだもの。内容は既にくどいほど報道されているように、勝負の貸し借りをメールからバレて元春日錦(竹縄親方)千代白鵬、恵那司の3人が八百長相撲をやったと白状している。
 
 日本相撲協会はこれまで横網の暴行事件、野球賭博事件と立て続けに騒ぎがおこり、その都度理事長が交替したり、本場所のテレビ放映が中止されたり懸賞金が激減したり、と手痛い仕打ちを受けてきた。「国技」と自ら称するにはそれ相応の矜持というものが必要なのだから、それはそれで止むを得なかったというはかない。ただ、これまでの不祥事は酒場での出来事、プロ野球の勝ち負けに関する犯罪のことだった。つまり力士の倫理感、いまはやりの言葉で言うならコンプライアンスの欠如だった。ところが、今回の3つ目の大噴火は国技としての相撲の根幹にかかわる大不祥事と言わざるを得ない。なぜなら相撲取り組みそのものの不正だからだ。子供のころから唯一のプロスポーツで人気だった大相撲だが、父親が友人と語りあう中で「私はね、どうも相撲は2人だから八百長があるような気がしてね。9人でやるプロ野球の方がいいね」といった言葉を今も聞き覚えている。あの心配が現実のものになってしまった。
 
 昔から千秋楽に7勝7放で来た力士のほとんどが勝って勝ち越し、現在の位置を確保、少し昇進、というケースが多く見られていたのは間違いない。この日だけは何となくボンヤリと八百長を感じさせた。特に激しいのは十両の下位の力士だ。十両と幕下は天国と地獄くらいの差がある。月給100余万円で大銀杏マゲの関取でいられるか、月給無しの付け人稼業になるかの差だ。勝負の売り買いは想像に難くない。でも、これをどうやって無くすか。その手際がいま大きな試練に晒されているのだ。まずくゆけば大相撲が消える瀬戸際のだ。(2011・2・10)






Copyright (C) Medianetplan Co.,Ltd. All Rights Reserved.
このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。