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格差にもいろいろあるけれど

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏


 昭和30年代後半からの高度経済成長時代に成し遂げた“一億総中流”社会は半世紀が経って雲散霧消してしまった。いまや格差社会の真っ只中である。もっとも、これはなにも日本ばかりではない。GDP世界第2位に伸し上がった、と誇らしげな中国は生半可ではない格差社会が広がりを見せて、恐らくこの解決策を誤ると命取りになりそうな宿痾(しゅくあ=持病)となっている。
 と、まあ中国の矛盾を取り立てて、ここで論ずるつもりはない。同じ格差の話でも、もっと身近で大切な問題を取り上げよう。いま福島県内で格差の話題となるのは「医療格差」のことだ。具体的に言うと、県都福島市と経済県都郡山市での医療水準の差のことである。2月11日(金)「大原綜合病院再建へ企業再生支援機構の支援決定」のニュースが報じられた。経営陣が一新されて5年後をめどに新病院を建設するという。この大原病院の再生がこのように大きなニュースになるのは福島市での医療機関がきわめて貧弱だからだ。「福島市には県立医大付属病院があるじやないか」と反論を頂くだろう。でも医大病院は光ケ丘という蓬莱団地のさらに奥にあるんだぜ。車かバスで通わなけりやならない場所だ。病院側が患者輪送のバスをサービスしてでもいるかネ。問題は街中に総合病院が立地しているかどうか、なんだ。歩いても通院できる大病院が便利なところにあるかないかで、医療に大きな格差が生まれる。救急車一つとってみたって分かるじゃないか。1、2分で救急室に着くのと、20分かかるのとでは助かるものも助からない。命にかかわる問題なんだよネ。

 この点、郡山市は6つの財団法人大病院が街中にひしめいているはか、数多い病院が鎬を削っている。中でも総合南東北病院は「救急車は絶対断らない」として救急センターを拡充している。ここは世界の最先端をゆくがん治療センターを築きあげている。陽子線がん治療だ。民間病院では日本で初めての施設である。これに刺激されて150年を越える老舗の寿泉堂病院は街中もいいところのデパートうすい裏に市街地再生事業で新病院を建て2月4日からオープンした。負けじとこれまた老舗の星絵合病院が郡山駅東口の新病院の建設に踏み切った。名門太田総合病院もある。いずれも駅から歩いて行ける街中大病院で医療レベルはきわめて高い。病院送迎バスも競争だ。この格差は治るものも治せないドでかい差だ。この遅れを福島市民のために少しでも小さくするという点で、街中の総合病院としての大原病院の再建成功を祈るや切である。
(2011・2・20)






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