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日本の中の東北って?

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏


 日本という国の中での東北の位置付け、なんてあまり考えたこともなかったが、今回の東日本大震災は、こんなことにも国民の目を向けさせたのではないかと思っている。5月28日発行の週刊東洋経済によると、日本の中での東北のウエイトは人口で7%、GDPで6%、製造業出荷額では5%と決して大きくはない。でも、たとえば首都圏で消費される農畜産物、水産物、加工食品の多くは東北産、そして今回の原発事故で電力さえも東北から来ていたことを初めて知った東京人は決して少なくないハズだ。ただ、バカな東京人も多くて、関東圏を福島ナンバーの車で訪れると「放射能を持ってくるな」とか「汚いクルマ」とか罵声をあびせたり、中にはバンパーがボコボコにされたりすることがあった、という。那須のアウトレットに行って経験した人の忠告だから間違いない。放射能はうるもんじやないし、第一、その放射能を浴びた地域のおかげで東京は毎晩、不夜城の暮らしが出来てきたんじやないのか。
 
 そういえば、思い出した。30年前、東北新幹線が開通したが初めは東京駅が終点じやなかった。そのころの東京都の美濃部亮告知事という人は学者で頭がよかったんだろうが(天皇機関説で昭和の初めに軍部からの攻撃で東大教授を辞めさせられた美濃部達吉教授の息子さん)、新幹線が通る北区で騒音被害をタテに住民が反対しているのを取り上げて、東京駅までの新幹線開通を許さず大宮駅止まりにした。そこでフジテレビ系列の仙台放送が岩手日報、河北新報、福島民報、埼玉新聞の編集局長を集めてテレビ座談会を企画、反論を放送したことがあった。当時、筆者は福島民報編集局長で座談会に出席し意見を展開したが、その論旨は「食料から電気まで東北からの供給で生きているクセにその住民を東京に通さないとは何事だ。ならば、東北は一丸となって食料も水も電気も東京に送らない運動を展開しよう。東京は都民だけの都ではない。東北の人間にとっても首都なのだ。その首都に新幹線を通さない知事は北区だけの知事なのか」というもの。手前ミソだが評判がよくて拍手喝采をうけた。
 
 そんなこともあって、やがて東北新幹線は上野まで延びたが地下駅の終点、金の卵の新制中学卒業生が東京の地を初めて踏んだ上野駅の名が人の口端に上らなくなって久しくなった。あのガード下の屋台の焼きそば屋が懐かしい。就職試験の帰り、夜行列車を待つ間に腹拵えに行くと、「オメエ、東北のどっちだ?」と尋ね、おまけして呉れたオヤジも東北人だった。温かみがあった。
(2011・6・10)






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