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Home >斜め読み聞きかじり >2011/8/8

もう一度、放射能避難にケチ付けたい

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏


 大震災で福島県では原子力発電所が事故っちやつて、放射線が撒き散らされて何万人という県民が自分の先祖伝来の土地に住めなくなった。こりやあ天地創造いらいの大事(おおごと)なんだが、こちとらの年老いた頭には、いま一つピンと来るものが無い。考えてみると、同じ福島県民として、同じ時間に同じ土地で同じ空気を吸って同じ魚を食って生きていても、人生の中で残された歳月だけは大きく異なっている。世の親たちはこれから子を育てる30年、40年の年月が両肩にのしかかっているのだが、こちとらにはもう10年も生きられたら御の字、というくらいの月日しか残されていないのだ。この辺が毎日撒き散らされている放射能への反応の相違点なのだ、と気付いた。
 
 放射能が撒き散らされている中で、仮に20年後の発がんリスクが心配されるとして、60代以上のご老人はこれをどう捉えるべきなんだろうか。即刻、自分の住み慣れた家を離れ、不便で辛い避難所暮らしをした方が良いのだろうか。生涯をかけて働いてきた仕事を続け、幼いころからの近所の友と語り合いながら飲み、好きなものを食べて暮らす日常は何にも代えがたい宝物だろう。これを英語では「エイジング・イン・プレース」というのだそうだ。つまり、“住み慣れた場所で年をとる”ということだ。高齢者にとっての理想郷とされている。なのに、あと20年のために仮に赴いた避難所暮らしで待ち受けているのは「運動不足」と「ストレス」しか無い。幼なじみもおらず、知らない人ばかりの環境。取り巻きがバラバラになったら、互いが心で支え合う暮らしも崩壊、せっかくの余命は毎日を呪いながら生きる虚しい日々と化す。8月.3日付け朝日新聞社会面に、毎朝8時過ぎると焼酎をあおる避難民、1日1回死にたい、と口にする避難者の話が掲載されていた。事実なのだ、この心配は…。
 
 20年後のがんを心配して60歳を過ぎた人間が辛い避難生活を耐えることが果たして正しい放射能対策なのか。政府や県・市町村の関係者の方々に、この際とくと考えてほしいのだ。/小学校の算数の授業じゃあるまいし、コンパスで同心円を書いて「ホレ、この円の外に逃げろ」などと言われて、先祖の土地を捨てさせられることぐらい、無慈悲なことはあるまい。それを今の菅内閣はやっているんだよ。80歳の年寄が避難させられる途中で亡くなったニュースを枝野官房長官はどう聞いたんじや。80歳をそのまま我が家で20年暮らせば100歳の長寿を全う出来たんだヨ。どう考える、ネ、お偉いさん方ヨ。(2011・8・6)






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