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Home >市民のページ >2005/3/26

トイレはその街の顔、その街のレベル

 縁があってこの3連休に群馬県前橋市へ行った。過去にも2〜3度訪れたマチではあるが、いつも何時間という滞在ではマチの様子など知る由もなかった。“誰も”とは言わないが、大方はそのマチの顔である駅前に立ってみるだろう。そこにそのマチの表情が伺える気がするからだ。早朝の前橋は春の日差しをいっぱいに浴びて、この季節特有の“花粉症”が冬眠から目を覚まし、私を悩まし始めた。
 愛車は、国道17号線からケヤキ通りを抜けると正面に前橋駅が見えてきた。「これが駅前か?」と思うほど駅前は閑散としていた。目立つ建物といえば、イトーヨーカドーが駅西側に隣接する程度で、駅正面には地元倉庫会社が歴史を佇ませデンと構えている。車も人の流れもまばらでマチの活気きは感じられない。そんな中で、朝特有の自然現象が起きた。駅構内に車を止めて駅の中に入るがどこにもトイレがない。やっと案内板を見つけると駅構内にはトイレがないのだ。駅南口に出て、やっと西手に見つけて飛び込むと「あっ!」と驚く。それは予想をはるかに超える汚さだ。そこに入るのを止めて今度は北口の東手のトイレに駆け込む。これまた、ひどい汚れでとうとう“大”を我慢してしまったのである。

前橋市のパンフレット  一般家庭でも“玄関”同様、トイレはその家のもうひとつの「顔」である。トイレを見ればその家庭の生活レベルだけてはなく、親の育ち、子の躾までも分かるという。20代の頃、スナックのマスターに教えられたことがある。「うちの従業員には男女を問わず、必ずトイレ掃除をさせる。それも素手で便器を洗って、流した水で自分の手も洗うことができるまでピッカピッカに磨かせるよ。そうすれば、お客様もだんだん汚すことがなくなるのだ。またきれいなトイレの店には女性客も増える。そうすれば男性客も増えると言うものだよ」と営業のコツを聴かせてくれた。トイレは汚す人間が一番悪いが、それを放っておく管理者の責任でもある。前橋駅はJRの責任なのか、市か、県かは定かではないが、街のイメージがトイレひとつで決まってしまうのでは、あまりにも悲しい。

 前橋市内には仙台市内と同名の“広瀬川”が流れる。川に沿って「広瀬川詩の道」があり、ここには萩原朔太郎を始め、北原白秋、室生犀星、谷川俊太郎、草野心平などの歌人の詩碑が建ち並び、文学を愛する人には心安らぐ場所である。朔太郎像前では記念写真にも収まった。その西手には前橋の新名所となった33階建ての群馬県庁がそびえる。最新式の立体駐車場はスライド式に車が収納される。さらにノンストップのエレベーターで一気に展望ホールへ。地上150メートルから下界を見下ろすと赤城山のすそ野に広がる街並みの素晴らしさ、反対側にはあの事件で有名になった浅間山。その雪の頂きはアルプスを思わせるほど印象的なものだった。こんな素晴らしい街に縁があってこれからも何度か足を運ぶだろうが、これだけ立派な県庁が造れるなら、「駅前のトイレを何とかしてくれ!」と言いたい。街は行政と市民が一体とならなければ、「活気あるまちづくり、美しいまちづくり」はあり得ないのだ。(05.3.26)


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