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偏った栄養が引き起こすこと

 一年を通して花を楽しめる福島市の花見山公園。すっかり全国区になって年間20万人の観光客で賑わう名勝の地となった。先日、その園主である阿部一郎さんの講演を聴く機会に恵まれた。阿部さん自身が人の前で話しをすることは珍しい。86歳になる阿部さんは、会場が用意した椅子を使うことなく約1時間にわたって開園の経緯、花木栽培農家の苦労と夢、写真家の秋山庄太郎さんとの思い出など、園主ならでわのエピソードを盛り込んだ。
 阿部さんはまた、現代社会が抱える犯罪の問題を憂いながらこう語った。「最近の若者には心の栄養が足りない。偏った栄養から偏った人間が出来上がる。目的を持って大学に入れば最高なのに、大学を出ても働く目的がない。生きる目的を意識することは大切なこと」と話す。

 全く同感である。草食動物である日本人が肉を食べる時代となって久しい。キレル若者と同様に引きこもる若者も多くなった。これらの原因に日本人の食生活の変化、特に偏食が問題となっている。母親手作りの温かい料理、家族団らんの夕食の時間が、日本の高度成長と核家族化が進むにつれ、“おふくろの味”が家庭から消えていった。特にこの時代に生まれたカギっ子も30代半ばに差しかかった。高度成長率10%の陰にコンビニ弁当の台頭、スナック菓子、ハンバーグといった食べ物が全盛期を迎え、これらを食した子ども達がいま、予想もしない犯罪を引き起こしている。さらにテレビゲームやインターネットの普及が成長期の子ども達を社会と人間との関係を遮断したとも言えるのである。大人の金儲けや手抜きの対象となった世代が、「犯罪」と言う行為に対し、どれだけの認識があるのか疑わしい。すべてゲーム感覚で「殺しても人は生き返る」と本気で信じている若者のいるのだ。一度は本当にやってみたいと思うのは、もはや「戦争ごっこ」といった昔の子ども達の「遊びの領域」をすでに超えているのだ。

 花は心の栄養と話す阿部さんの言葉を借りて、我々日本人はもっと古来の日本食に戻ろうではないか。これまで大人が犯した過ちは消えることはないが、同じ過ちを引きおこさないためにも、偏った栄養からは偏った人間しかできないことを念頭に、こども達に手作りの温かい料理を食べさせ、昔ながらの遊びを教えて外で遊ばせよう。たまには、「花はこれからも植え続けていきます」と話す阿部さんの手作りの花木を見物に家族で出かけようではありませんか。山は10日ごとに変わっていくそうです。(05.5.23)


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